住民間で助け合う介護サービスが始まっている

 

2017年4月、介護保険の大改革が始まりました。ポイントは、高齢者の自立と住民間の互助です。対象となるのは、介護保険の入り口である、「要支援」の人たちです(利用者のおよそ3割にあたる)。

 

要支援と判定されたお年寄りたちに対して、これまで介護士やヘルパーといった専門職が行ってきた介護予防や生活支援に、資格を持たない住民たちが積極的に関わることになりました。

 

そして、国が一律に決めていた介護サービスの内容を、今後は各市区町村(自治体)が判断することになりました。高齢者に自立した生活を送るよう促し、社会全体の経済的・肉体的な負担を軽くすることが狙いです。

 

日本は、近い将来、3人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えます。こうして、介護をになう介護士やヘルパーの人手不足は年々深刻になってゆきます。また、介護サービス費用を捻出(ねんしゅつ)するための財政状況もひっ迫しています。

 

つまり、2017年度の介護給付費は10兆円を超えていて、介護保険料だけでなく公費(税金)も入っています。65歳以上が支払う介護保険料も、介護保険がはじまった2000年当初の月平均2900円から5500円になり、2025年には月8000円を超えると見込まれています。

 

こうして、高齢者への介護は、人手不足と財政状況のひっ迫の二重苦を抱えているのです。そこで始まった今回の改革です。対象となるのは、利用者のおよそ3割を占める要支援(1と2の二段階がある)です。すなわち、日常生活の一部に支援が必要な人たちです。

 

こうした人たちの生活支援を行ってきたのは、これまで介護士やヘルパーでした。ところが、今後は、資格を持たない住民たちの力も積極的に活用できるようになりました。もはや、人手不足と財政難から、住民同士が助け合うしかないのです。

 

介護サービスはこれまでは国が一律に決めていましたが、今後は各市区町村が判断します。現場の実情に合わせたサービスを提供することで、高齢者ができるだけ介護保険に頼らず自立した生活を送れるよう促すねらいです。

 

そうすることで全体の負担を軽くし、介護保険料の伸びを抑えられる可能性があります。なぜなら、介護保険のサービスを使う人が増えれば増えるほど、使ってない人も払わないといけないから、介護保険料が高くなっていくいます。

 

すなわち、逆にみんなが元気で介護保険サービスを使う人が減れば、介護保険料は減らすこともできます。高齢者の自立を促し、住民力を結集して支える。この2つを総合的に進めていく改革は「総合事業」といいます。

 

具体的には、人手不足の解消と介護費用を抑えるために、ボランティアやNPOを活用するのです。例えばある自治体の「高齢者ための体操教室」では、生徒はもちろん指導する側も高齢者です。

 

費用を抑え健康になる教室をうまく工夫してやっていけることを示しています。また、住民自身の手による高齢者の生活支援があります。これは、「生活サポーター」制度とよばれ、介護のプロに頼らず、住民同士で支え合う取り組みです。

 

生活サポーターは、掃除や買い物をしたり、これまで介護保険ではカバーできなかった庭の手入れや、ペットの散歩などの困りごとにもきめ細かく対応します。人手不足に悩む介護の現場に住民という生活サポーターが加わり、高齢者を支え始めています。このまま介護保険制度ばかりに頼っても、ヘルパーが少ないという現実出てくるので、この制度の積極的な活用が期待されます。

 

一方で、この総合事業(住民間の互助制度)が始まってから従来のサービスが使えなくなるという不安の声もあります。しかし、現在の介護サービスを利用しているお年寄りはそのまま利用できます。

 

これからの生活の中でいろんな選択肢があるということです。すなわち、介護保険外の住民間の互助サービスが導入されたということです。すなわち、2017年4月に始まった総合事業とは、お年寄りたちがサークルを作って体操をやったり、近所どうしが助け合うことなのです。

 

この昔からある風景が介護保険の大改革の眼目なのです。また、この制度には課題もあります。資格のない人が訪問介護をしたときに、お年寄りを説教したことが問題になったり、互助の精神に対する理解が進まず介護の担い手不足に悩む地域も多いのです。